2. 木工

品質の良い塗装ができるよう、ボディ材を加工します。

 

2.1.       ネック取り付け孔開け

先に、ボディとネックを仮固定して、ボディとネックに取り付け孔を開けておきます。仮固定には、「1.6.あると便利な工具」で紹介のカムクランプを使用するか、無ければ両面テープを使う手もあります(ただしやりにくい)。

糸巻きを1弦と6弦のみ仮固定し、仮固定したブリッジまで糸を張ってネック取り付け角度を正確に確保します。実際の弦を張ると、張力が強過ぎて、うまくいきません。

ボディ側の孔径は、取り付けネジよりひと回り大きめ、ネック側はネジの指定寸法にします(ネジの直径よりも少し小さい寸法が指定されている)。

ここで重要なのは、垂直に孔開けすることで、理由は言うまでもありません。失敗したらやり直しはききません。ハンドドリルよりも、卓上ボール盤をお勧めします。

取り付け孔位置の目安としては、ネック取り付け金具をテンプレートとして使用するのが便利です。

また、最初からネック取り付け孔の開いているボディも市販されています。このばあい、ネジ位置に合ったネック取り付け金具を入手する必要があります。

 

2.2.       目的は塗装の下準備

購入したボディが完全に平面が確保されているという保証はありません。

目にはよく見えなくても触るとわかる凹凸があったり、硬いものが当たったようなへこみ傷があったりします。

またアッシュなどの散孔材では小孔(導管)だらけだったりして、とてもそのまま塗装できる状態ではありません。この木工でいかに平滑面を出せるかが、後の塗装工程の品質を左右します。

へこみキズは木工用パテで埋めます。

明るいところで、よく見ながら少しずつ作業する必要があります。

 

2.3.       ヤスリがけ

購入したボディは、木工機械で加工しただけで、まだ、凹凸が残っているため、木工ヤスリなどできれいな直線と曲線を出します。凹凸は見てもよくわからないため、指先の感覚が頼りです。

25cm以上の大きなヤスリであれば、正確な直線が出しやすく、反対に小さなヤスリだけを使うと、完成したときに、「鏡のような」面を出しにくい傾向にあります。

ただ、なかなか中目の30cm程度の良いヤスリが手に入りにくい状況にありますので、無ければ、安物の鉄工用でもいいかな、という気がします。

使用前には、ヤスリの油分を除去しておくのは当然です。

 

2.4.       サンディング

ヤスリがけの完了した後、そのままでは、木材表面に細かくて深いキズが多く残っているため、それを除去する必要があります。それには、紙ヤスリを使用します。

キズがはっきり見えるようなら、まず、♯220の紙ヤスリで表面をならします。

この時、紙ヤスリを手だけで押さえて作業すると、凸部は残り、凹部は更に削ってしまう、という傾向があるため、必ず、ゴム製のサンディングパッド(研磨パッド)を使用すべきです。

サンディングパッドは、平面用と曲面用の二種類があると、仕上りがきれいにできます。カッタウェイの凹部など、φ30〜40oのサンディングパッドに紙ヤスリを巻きつけて、平らで連続性に無理の無い面を確立します。ただし、トップとサイドとの曲面など、小さなRは手でやらざるを得ないでしょう。

空研ぎサンドペーパーが、目詰まりが少なく、便利ですが、紙製サンドペーパーの二倍の価格です。

次に♯400で木材表面のキズを完全に除去します。

これらの作業中には、相当量の埃が発生するため、口と鼻には、マスクが必須です。花粉症用のものが望ましいのですが、無ければ何でも良いでしょう。私は外科用の使い捨てマスクを使用しています(左図)。

できれば、目に入る研磨微粒子を防止するためにメガネタイプが欲しいところです(右図)。

パールインレイを作るばあいには、マスクが必須です。パールの研磨粉は有害物質だそうです。

 

 

 

2.5.       目止め(アッシュやマホガニーなどの散孔材にのみ適用、メイプルやアルダーには不要)

そのまま塗装すると、細かい凹部が多数残ってしまい、塗料で埋めるのに大変な労苦を伴うため、木材表面の小穴を埋めます。

伝統的な手法/材料として、「とのこ」があります。これは安価で、入手も容易ですが、取り扱いにはコツが必要です。

とのこは水で溶いて木材に塗るのですが、慣れないと水加減がうまくいきません。

水の量が多すぎると、塗るのは簡単ですが、乾燥に時間がかかるし、反対に水の量が少ないと、乾燥は速くても、小穴の全てを埋められなかったりします。

とのこは刷毛で塗った後、ウェスで余分を拭き取ります。

うまく拭き取れずに残ったら、♯400のサンドペーパーを軽くかけて除去します。

最近は、使いやすい木材用目止め剤が他にもいろいろ入手可能です。

 

 

0.概要  1.基本構想  2.木工  3.塗装  4.部品製作  5.組込  6.調整  7.あとがき  8.参考資料  9.付録  補遺

 

 

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